白内障とは、目の中でピントを調整する(カメラでいうレンズのような働きをしている)水晶体が白く濁る病気のことです。水晶体が白く濁ってしまうと目の中に届くべき光の量が減少してしまい、光が十分に眼底に届かなかったり、ピント調節機能がうまく働かなくなってしまいます。
白内障とは
眼の中にある「水晶体」と呼ばれるカメラのレンズにあたる組織が、さまざまな原因で濁るために視力が悪くなってしまう病気が「白内障」です。
白内障の初期症状
白内障は、目の水晶体が白く濁りさまざまな症状が現れる病気です。
初期症状では兆候が現れないことがほとんどです。
この段階で病気を自覚すること、判断できることはめったにありません。
また、白内障は、進行がよほど進まない限り目が完全に見えなくなることはありません。これは片目が少し見えづらくなってきた場合に、もう片方の目が見やすさを自然とカバーしてくれるために、それなりの日常生活を送ることができてしまいます。
結果として、自覚症状がない状態が10年以上続くこともあります。
白内障の症状
- 初期は無症状
- 視力が下がる
- まぶしくなる
- かすんで見える
- ダブって見える
- メガネをかけてもよく見えない
正常な目
十分に光を通します
白内障の目
光が通りにくくなります
目がかすむ
白内障の症状のひとつに、目のかすみがあります。水晶体が白く濁ると光の透過性が落ちるため、ものがかすんだように見えて、なんとなくすっきり見えない、ピントが合いにくいといった症状がみられます。
くもりのあるレンズを使って写真を撮影するとシャープさやクリアさが失われたぼやけた写真になったり、くもりガラスを通してものを見たらかすんで見えたりするのと同じ仕組みです。
視力が低下する
水晶体の濁りの多くは、水晶体の外側から中心部に向かって進行していく事が多いです。視力の低下を実感出来る時は、すでに水晶体の濁りが中心部に到達してからになります。初期状態であれば、視力低下を実感することはほとんどありません。 後嚢下白内障では早い段階から濁りが中央部に出てくるため、視力低下を感じやすいです。一方で核性白内障では主に黄色く濁るだけで水晶体の透明性は比較的保たれることが多いため、進行しなければ視力は低下しないこともあります。 このように視力の低下と白内障の進行度は必ずしも比例するわけではないと言えます。
光をまぶしく感じる
水晶体が濁ってしまうと光がまっすぐ網膜に届く事ができず、光の散乱が生じます。その結果として、光がまぶしく感じるようになっていきます。 特に光を敏感に感じやすいのは、夜に暗い道で明るい街灯や信号を見たときです。皮質白内障や後嚢下白内障では水晶体が白く濁ってくるため光の散乱が生じやすく、これらの白内障では夜間の車の運転中にヘッドライトがまぶしく感じやすくなります。 夜間の運転中に信号やヘッドライトなどを眩しく感じると、交通事故にもつながりやすくとても危険です。夜の光がまぶしすぎると感じたら、医師に必ず早めに相談してください。
眼鏡の度が合わなくなる
多くの白内障では水晶体の端の方から少しずつ濁り始め、中心部に到達するまでには時間を要します。そのため、白内障がよほど進行していかない限りは視力の低下を感じることは多くありません。
しかし、水晶体の中心部から濁りがはじまる核白内障の場合は、白内障の進行とともに近視が進むケースもあります。白内障の進行に合わせて水晶体が膨らんでくるために近視が進み、眼鏡の度を合わせても、1年ほどで合わなくなるといったことも起こります。
また、老眼鏡がないと新聞が読めなかった人が、老眼鏡がいらなくなったというケースも見られますが、これは決して老眼が治ったわけではなく、白内障が進行した可能性もございます。
ものが二重に見える
白内障の代表的な症状のひとつでものが二重や三重に見えることもあります。 水晶体の濁っている部分と透明な部分では光の進行方向がそれぞれ変わってしまうために、複数の像が見えてしまいます。物が複数に重なって見えることを複視といいますが、複視のすべてが白内障によるものというわけではありません。 ものが二重三重に見える複視が白内障によるものかどうかは、月を見てみるとわかる場合があります。眼鏡をお持ちの場合は眼鏡をした状態で片目づつ月を見てみましょう。それで月が二重三重に見えた場合は白内障の可能性があるかもしれません。
目が疲れやすい
人間は、ものを見るときに水晶体の厚みを自然に変化させてピントを合わせています。 水晶体の厚みを変化させるためには、水晶体のまわりの筋肉を動かすことが必要です。しかし水晶体が白く濁ってしまうと、ピントを合わせることが難しくなります。それでも目はどうにかピントを合わせようと常に目の筋肉を使っている状態になるのです。このことから、白内障になると目が疲れやすくなります。 また、ものが見えづらくなったり、まぶしさを感じたり、ものがぼやけたりするなどといった白内障の諸症状は、目に多くのストレスを与えます。これらすべてが眼精疲労の原因になりえます。
白内障の原因
白内障はさまざまな原因で起きますが、最も多いのは加齢によるもので「加齢性白内障」とか「老人性白内障」と呼んでいます。 個人差はありますが、誰でも年をとるにつれ、水晶体は濁ってきます。 一種の老化現象ですから高年齢の人ほど多く発生します。 そのほか糖尿病やアトピー性皮膚炎などの全身疾患に合併する白内障、先天性白内障、外傷性白内障、ぶどう膜炎などの眼病に見られる併発白内障などがあります。